JPモルガン、共同社長を新設し経営体制を刷新
何が起きたのか?
JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase & Co, $JPM)は、商業・投資銀行部門(CIB)の共同CEOを務めていたダグ・ペトノ氏とトロイ・ローアバウ氏を、会社全体の「共同社長(Co-Presidents)」に選任したと発表しました。即日発効とのことです。
新体制のもと、ペトノ氏はCIBの単独CEOに就任し、ローアバウ氏は消費者・コミュニティバンキング部門(CCB)のCEOを兼務します。JPモルガンの二大事業をそれぞれ率いるトップが、同時に会社全体の共同社長を務めるという、非常に重みのある人事です。
マリアンヌ・レイク氏の退任
現CCB・CEOのマリアンヌ・レイク氏は、同社での勤続年数が四半世紀を超えるベテラン経営者ですが、今回の発表に合わせて退任する意向を明らかにしました。レイク氏はローアバウ氏や他の上級幹部と協力し、円滑な引き継ぎを進めるとしています。
特別リテンション報酬の付与
取締役会の報酬・経営開発委員会(CMDC)は、今回の体制変更に合わせて、主要幹部に対する一時的な「リテンション・アンド・コンティニュイティ報酬」を承認しました。対象となったのは以下の方々です。
- ダグ・ペトノ氏(共同社長・CIB CEO)
- トロイ・ローアバウ氏(共同社長・CCB CEO)
- メアリー・エルドーズ氏(アセット&ウェルスマネジメント部門CEO)
- ジェニファー・ピエプザック氏(最高執行責任者)
報酬はすべて株式ベースの「制限付き株式ユニット(RSU)」として付与されます。付与から一定期間後に一括で権利確定する「クリフベスト」方式が採用されており、さらに一定の業績条件(ROTCE=有形自己資本利益率の基準達成)を満たすことが求められます。権利確定後も追加の保有義務期間が設けられているほか、業績の修正再表示があった場合の返還規定(リクローバック)も適用されます。
委員会は、この報酬が「社内の有力な後継候補を確保し、経営移行期における主要幹部の継続性を維持するためのもの」であり、「株主の長期的利益に資する」と説明しています。
後継計画としての位置づけ
JPモルガンは今回の人事を、取締役会が進めてきた「継続的な後継計画(サクセッション・プランニング)」の一環と位置づけています。同社のトップであるジェイミー・ダイモン氏の後任をめぐる議論は市場でも長く注目されてきたテーマであり、今回の共同社長ポスト新設は、その計画が具体的に動き出したことを示すものといえます。
専門用語をやさしく解説
共同社長(Co-Presidents)会社全体の社長職を二人で分担する体制です。CEOに次ぐポジションとされ、将来のCEO候補と見なされることが多いです。制限付き株式ユニット(RSU)一定の条件(勤続年数や業績目標など)を満たすと、会社の株式を受け取れる報酬制度です。現金ではなく株式で支払われるため、幹部と株主の利害を一致させる効果があります。クリフベスト権利確定が段階的ではなく、一定期間経過後に一括で行われる方式です。途中で退職すると原則として全額が失われるため、人材引き留め効果が高いとされます。ROTCE(有形自己資本利益率)銀行の収益力を測る指標のひとつで、のれん等の無形資産を除いた自己資本に対してどれだけ利益を上げたかを示します。非GAAP指標(米国会計基準に基づかない補足的な指標)に分類されます。リクローバック(報酬返還規定)業績の修正再表示や不正行為があった場合に、すでに支払われた報酬を会社が取り戻せる仕組みです。
読者のみなさんへ
米国最大級の金融機関であるJPモルガンの経営体制が大きく動きました。後継計画は企業の長期的な安定性に直結する重要なテーマですので、今後の公式発表にもぜひ注目してみてください。最新の詳細情報は、同社のIRページやSEC EDGARで確認されることをおすすめします。みなさんの情報収集のお役に立てればうれしいです!
出典: SEC EDGAR
※本情報は情報提供を目的としたものであり、投資を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。