ウーバーがデリバリーヒーロー買収へ大型融資契約を締結
何が起きたのか?
ウーバー・テクノロジーズ (Uber Technologies, Inc., $UBER) は、SEC(米国証券取引委員会)に8-K書類を提出し、デリバリーヒーロー (Delivery Hero SE) の株式に対する公開買付け(TOB)の資金を確保するため、複数の重要な融資契約を締結したことを報告しました。
デリバリーヒーローは、ドイツ法に基づいて設立された欧州のフードデリバリー企業です。ウーバーは完全子会社を通じて、デリバリーヒーローの株式に対する自発的な公開買付けを行う計画で、今回の融資契約はその買収資金を手当てするものです。
締結された主な契約の詳細
① タームローン信用契約
ウーバーは、モルガン・スタンレー・シニア・ファンディングを管理代理人とするタームローン信用契約を締結しました。この契約はユーロ建ての無担保融資枠で、トランシェA(融資実行日から約一年半後に満期)とトランシェB(融資実行日から約三年後に満期)の二本立てとなっています。
融資の資金使途は、公開買付けの実行資金、関連取引への充当、デリバリーヒーローの既存債務の借り換え、そして取引関連費用の支払いです。金利はEURIBOR(ユーロ圏の銀行間取引金利)に一定のマージンを上乗せした水準で、マージンはウーバーの信用格付けに応じて変動します。
なお、この契約の締結により、以前から存在していたブリッジ信用契約(つなぎ融資)の融資枠が減額されています。
② ブリッジ信用契約の修正
ウーバーは、以前に締結済みのブリッジ信用契約について修正契約を結びました。主な変更点として、一部の表明保証条項の削除や、クロスデフォルト条項(他の借入で債務不履行が起きた場合に連動する条項)の見直しが行われています。
③ 新リボルビング信用契約
ウーバーは、バンク・オブ・アメリカを管理代理人とする新たなリボルビング信用契約(回転型の融資枠)を締結しました。これは既存のリボルビング信用契約に代わるもので、米ドルのほか一部の外貨でも借入が可能な無担保の融資枠です。満期は契約締結日から約五年後に設定されています。資金使途は一般的な企業活動全般とされています。
なお、契約締結時点では借入の実行はなく、既存契約から引き継がれた信用状(レターオブクレジット)のみが発行されている状態です。
初心者向け用語解説
- 8-K書類:米国の上場企業がSECに提出する臨時報告書で、重要な出来事が起きた際に速やかに開示するものです。
- 公開買付け(TOB):ある企業の株式を、市場外で広く株主から買い集める手続きのことです。企業買収の際によく使われます。
- タームローン:あらかじめ決められた期間と返済スケジュールに基づいて借り入れる融資のことです。
- リボルビング信用契約:設定された融資枠の範囲内で、必要に応じて借入と返済を繰り返せる仕組みです。クレジットカードの利用枠に似たイメージです。
- ブリッジローン:長期的な資金調達が完了するまでの「つなぎ」として利用される短期融資のことです。
- 無担保:特定の資産を担保として差し入れていない融資のことで、企業の信用力に基づいて実行されます。
- EURIBOR:ユーロ圏の主要銀行間で資金を貸し借りする際の基準金利です。
- クロスデフォルト条項:ある融資契約で債務不履行が発生した場合、別の融資契約でも債務不履行とみなされる条項のことです。
読者のみなさんへ
今回の8-K書類は、ウーバーがデリバリーヒーローの買収に向けて大規模な資金調達体制を整えたことを示す重要な開示です。複数の融資契約が同時に動いており、取引の規模の大きさがうかがえます。
買収手続きの進捗や今後の展開については、ウーバーの公式IRページやSEC EDGARでの開示情報をこまめにチェックされることをおすすめします。大きなニュースが続く中でも、落ち着いて事実を確認していきましょう!
出典: SEC EDGAR
※本情報は情報提供を目的としたものであり、投資を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。