ウーバーがデリバリーヒーロー買収へ合意
何が起きたのか
ウーバー・テクノロジーズ (Uber Technologies, Inc., $UBER) は、同社の完全子会社を通じて、ドイツに本社を置くデリバリーヒーロー (Delivery Hero SE) の全株式を対象とした現金による自主的公開買付け(TOB)を行うことで合意しました。両社は「事業統合契約(Business Combination Agreement、以下BCA)」を締結しています。
ウーバーの取締役会はこの契約と関連取引を承認済みです。デリバリーヒーロー側でも、経営執行役会(Vorstand)と監査役会(Aufsichtsrat)が全会一致でBCAの締結を承認し、株主に対して公開買付けへの応募を推奨する方針を示しています(ただし受託者責任や適用法令、フェアネス・オピニオンの取得が条件となります)。
取引の仕組みと条件
今回の公開買付けはドイツの証券買収・公開買付法(WpÜG)に基づいて行われます。買付けの完了にはいくつかの条件があり、主なものとして以下が挙げられます。
- 各国の競争法(独占禁止法)に関する規制当局の承認
- 金融サービス関連の規制当局の承認
- デリバリーヒーロー株主による応募が一定割合以上に達すること
ウーバーは、この取引の資金について、主に手元の現金と借入金(デット)で賄う方針を示しています。
ブリッジ・クレジット契約の締結
BCAの締結と同日、ウーバーはモルガン・スタンレー・シニア・ファンディングを事務管理代理人とするブリッジ・クレジット契約(つなぎ融資契約)も締結しました。この融資枠はユーロ建ての無担保シニアローンで、公開買付けの資金やデリバリーヒーローの既存債務の借り換え、関連費用の支払いに充てられます。融資の金利はEURIBOR(ユーロ圏の銀行間取引金利)に一定のマージンを加えたもので、ウーバーの信用格付けに応じて変動します。なお、契約締結時点では借入は実行されていません。
契約解除と違約金について
BCAには、一定の条件のもとで契約を解除できる規定が設けられています。たとえば、競合する買収提案が出てデリバリーヒーローの取締役会がウーバーへの支持を撤回した場合、デリバリーヒーローはウーバーに対して違約金を支払う義務があります。逆に、規制当局の承認が得られず取引が成立しなかった場合には、ウーバー側がデリバリーヒーローに対して違約金を支払う義務が生じます。
専門用語をやさしく解説
- 公開買付け(TOB):ある企業の株式を、市場外で広く株主から買い集める手続きのことです。「テイクオーバー・ビッド」とも呼ばれます。
- BCA(事業統合契約):買収に関する条件や手続き、両社の義務などを定めた包括的な契約書です。
- ブリッジローン(つなぎ融資):恒久的な資金調達(社債発行など)が完了するまでの間、一時的に必要な資金を借り入れる短期の融資です。
- フェアネス・オピニオン:買収価格が財務的に公正かどうかについて、第三者の金融機関が意見を述べる書面です。
- EURIBOR:ユーロ圏の主要銀行間で資金を貸し借りする際の基準金利のことです。
- 違約金(ターミネーション・フィー):契約が一定の理由で解除された場合に、一方の当事者がもう一方に支払う金銭です。
読者のみなさんへ
今回の発表は、ウーバーがフードデリバリー事業のグローバル展開をさらに強化する大型案件として、市場から大きな注目を集めています。ただし、取引の完了には複数の規制当局の承認や株主の応募状況など、まだ多くのステップが残っています。今後の進展については、ウーバーの公式IRページやSECの開示情報をこまめにチェックしていただくのがおすすめです。みなさんの情報収集のお役に立てればうれしいです!
出典: SEC EDGAR
※本情報は情報提供を目的としたものであり、投資を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。